法律勉強が趣味

身近な法律を解説します。

法律と法令の違いは何?

「法律」と「法令」の違い、そもそも法律(法令)ってなんぞや?なんの為にあるん?
と、思う人もいるので分かりやすく説明していきます。

法律とは?

国家が出した国民のルールです。
ここで注意して欲しいんですけど、厳格には憲法と法律は別物です!
憲法や条例などを含めたものが法令と大きな括りで呼ばれます。
詳しくは後ほど説明します。
そして、なぜ必要なのか?これは分かりますね。
社会秩序(平穏な暮らし)を維持するためです。

言葉の意味と成り立ち

前提として漢字の意味見てみましょう!(興味のない方はスキップしてください)
法律の
「法」は「秩序を維持するために必要な規範(ルール)」
「律」は「行動を秩序づけるためのおきて。また、さだめ」
ほとんど同じ意味を持ってる文字ですね。

法と灋
そもそも「法」は「灋」と書かれていました。

「灋」は「氵(さんずい)」と「去」そして「廌(ち)」から出来ており、廌は麒麟のように想像上の動物です。
廌は物事の当否や善悪を正しく判断することができる能力をもっているとされていました。
古代の社会は、人間が知識で考えた合理的な事だけで物事を処理するのではなく、自然的存在の力などを中心として社会を回していました。
さっき説明したように、廌は当否善悪を正しく判断できるために裁判で遣っていたとされています。
嘘をついている人間に廌のツノで突かれたほうが敗訴とされ、敗訴となった者が川に流し去られました。
これらの事から「灋」と書かれ、現在は簡単に「法」と言う形を用いています。

彳と聿

次に「律」ですが、さっきよりはあっさりとした成り立ちになっています。
人のゆく道を表す「彳(ぎょうにんべん)」と「聿」は筆を持った手を表し、人が進むべき正しい道が記されているものとなり、「掟(おきて)」の意味を持ちます。

法律と憲法や条例などとの違い

まずはこの図を見てください。

小中学校で見た記憶がありますね。
法律は憲法の下にあり、憲法に反する法律や政令などは無効となります(憲法98条1項)。
判例を見てもらったほうが早いし、わかりやすいと思うので「婚外子相続差別訴訟」を見てみましょう!

婚外子相続差別訴訟

~事案~

婚外子(非嫡出子)は嫡出子の相続分の2分の1(半分)しかないという民法900条第4号但書の規定は憲法14条に違反するとして争われた。(平成25年9月4日)

(非嫡出子・・・夫婦ではない男女から生まれた子、嫡出子・・・夫婦間で生まれた子)
ちなみに憲法14条では「法の下の平等」を定めています。
 例えば親の遺産が600万あって、嫡出子と非嫡出子がそれぞれ1人いた場合、現在は平等に300万円ずつ相続しますが、この判決以前は嫡出子が4分の3である400万円非嫡出子は4分の1の200万円とかなり不公平な民法に規定がありました。

~判決~

・・・嫡出でない子は,生まれながらにして選択の余地がなく上記のような婚姻共同体の一員となることができない。・・・嫡出子と嫡出でない子の相続分に差別を設けることはもはや相当ではない。

として上記のような民法の規定は憲法に反して無効だという判決を下しました。
嫡出子も非嫡出子も生まれてくる立場は選べませんし、あとから事実を覆すことも不可能ですからね。
この判決からわずか3ヶ月後の12月4日に改正案が成立し、1週間後の11日に公布・施行されました。
このように法律が憲法に違反するような規定があれば、無効とされてしまうこともあります
法律はそう簡単に改正はできませんが、裁判所から違憲判決が出た以上は改正せざるを得ません。

今後の判例と法令

また、現在は合憲(憲法に反してない)と判断されても、社会が変われば判決が変更されることもあります。
この判決も「家族単位ではなく、個人が尊重されるようになってきた」との旨も記載されていますのでこれからはネット化が急速で進み、価値観も大きく変わると、過去の判例や法律、憲法が変わるかもしれませんね。

まとめ

ごちゃごちゃ話しすぎたので最後にまとめましょう!
・法律は国家が国民に出したルール
憲法と法律は別物だけど法令の一部
憲法に反する法律などは無効とされることがある
・今は合憲な法令でも将来社会が変われば違憲になる可能性もある

今回は以上になります。
ありがとうございました。